第17回 心臓性急死研究会 致死性心室性不整脈を合併した甲状腺機能亢進症の1例
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概要
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症例は44歳,女性.家族歴および既往歴はない.平成16年3月22日に労作時呼吸困難を主訴に当科を受診,うっ血性心不全と診断され入院となった.入院時12誘導心電図にて心拍数130/分の心房細動を認め,QTcは580msecと延長していた.入院時血液検査では,著明な甲状腺機能の亢進と血中カテコールアミン濃度の上昇も認めた.入院5時間後,,家家人入と面会中に心室細動が出現した.200Jの直流除細動を行い心室細動は消失したが,除細動直後の心電図ではQTcが610msecと入院時よりもさらに延長しており, また血液検査では低K血症を認めた. その後も頻回に心室細動が出現するため,静脈麻酔により鎮静し人工呼吸管理とし,リドカインの持続点滴およびメトプロロールの投与を開始,同時に血清K値の補正も行った.翌23日にも体位変換時に心室細動が出現,心電図上QTcは540msecと依然として延長していた.甲状腺機能亢進およびそれに伴う交感神経活動の亢進がQTc延長および心室細動発生に関与していると考え,チアマゾール,ヨードおよびステロイドの投与を開始した.その後は心室細動の出現なく経過し,freeT3濃度も次第に低下,甲状腺機能亢進の改善に伴いQTcの延長も改善した.甲状腺ホルモン濃度の上昇によるQT延長が心室細動発生の原因と考えられた.
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公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
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