第13回 頻拍症カンファランス 心筋症における抗心筋自己抗体の病態生理学的意義
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概要
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心不全患者における不整脈を検討する場合には,基礎心疾患について議論する必要がある.すなわち虚血性心疾患と拡張型心筋症では不整脈出現頻度は異なり,その病因差が背景に存在する.拡張型心筋症の病因として液性免疫異常が関与しており,自己抗原種によって各々特定の不整脈出現と関連する.非持続性心室頻拍は抗β<SUB>1</SUB>アドレナリン受容体抗体や抗Na-K-ATPase抗体と関連し,持続性心房細動は抗M<SUB>2</SUB>ムスカリン受容体抗体と関連する.拡張型心筋症以外の慢性心不全患者においても頻度は少ないものの,抗心筋自己抗体は認められる.発作性心房細動と抗Na-K-ATPase抗体との関連は基礎心疾患にかかわらず観察される. この抗Na-K-ATPase抗体はそれ自体に陰性変時作用と催不整脈作用を有し,抗原反復免疫によって心房心筋炎モデルを作成することが可能である.さらに頻度は少ないものの,孤発性心房細動患者においても抗M<SUB>2</SUB>ムスカリン受容体抗体を認める.心機能は保持されていても,これらの患者血清中には陰性変時作用と催不整脈作用を有する免疫グロブリンGが存在する.以上のような「催不整脈性抗心筋自己抗体」は,今後の不整脈治療上で新たな標的となる可能性があるだろう.
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公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
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