第14回心臓性急死研究会 両心室ペーシングと塩酸ニフェカラントの併用でElectrical Storm を回避し得た拡張型心筋症の1例
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概要
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植込み型除細動器(ICD)は心室不整脈症例の予後を改善するが,electrical storm(ES)では急死の危険がなおも危惧される.ESを繰り返し,β遮断薬・アミオダロン・静脈麻酔で頻拍の抑制ができなかったICD植込み後の拡張型心筋症の男性に両心室ペーシングと塩酸ニフェカラントの併用療法を行い,ESからの離脱に成功した.洞調律時のQRS幅は0.32秒に延長し,左室駆出率は17%,心係数(C1)は1.3L/分/m2に低下していた.心室頻拍の発症には,洞調律から心室ペーシングへ移行する際の血圧変動も関与した.両心室ペーシングの急性効果で,QRS幅は0.2秒,C1は1.4L/分/m2に改善し,またペーシングレートを毎分80拍として,血圧の変動をコントロールした.両心室ペーシング植込み後にBNPは913から152pg/mlまで改善し,塩酸ニフェカラントも中止できた.ペーシング治療による心機能改善と血行動態の安定がES回避に有用であった一例として報告する.
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公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
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