研究会 第30回河口湖心臓討論会 主題 : 心・血管のリモデリング 血管新生の分子機構
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概要
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血管新生とは既存の血管から新しい血管ネットワークが形成される現象である.血管新生は促進因子と抑制因子の2種類の調節系によって制御されており,促進系が優位となるとき開始すると考えられる.血管新生促進因子としてはVEGFファミリー,FGFファミリー,EGFファミリーの増殖因子が特に重要であり,内皮細胞はこれらの増殖因子に反応して,血管基底膜や間質のマトリックスを消化し,遊走・増殖して管腔を形成する.血管新生の過程で内皮細胞にはさまざまな遺伝子の発現が誘導されるが,その分子機構の詳細は不明である.我々は,転写因子ETS-1に注目して解析を進めている.ETS-1はETSファミリーの転写因子の一つであり,ETS結合モチーフに結合して遺伝子発現を調節する.これまでの我々の検討では,血管新生促進因子に対する共通の反応として血管内皮細胞にETS-1の発現が誘導されること,ETS-1はu-PAやMMP-1の遺伝子発現と細胞遊走に関与し,ETS-1の発現を阻害すると血管新生が抑制されることが明らかとなった.ETS-1は,血管新生に際して血管内皮細胞の遺伝子発現を制御する重要な転写因子と考えられる.
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