臨床 短絡疾患に合併した感染性心内膜炎10例の手術治療経験
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概要
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過去17年間に経験した59例のinfective endocarditis(IE)のうち10例(17%)が先天性短絡疾患を基礎疾患に有していた.短絡疾患はVSD 2例,V S D + P A + M A P C A 2 例, P D A 3 例, V a l s a l v a 洞動脈瘤破裂2例,anomalous origin of left coronary artery from pulmonary artery(ALCAPA)1例で,発症時平均年齢28.1歳,男4例,女6例であった.7例が活動期IEでNYHA心機能分類IV度であり,5例の刺激伝導障害と3例の肺梗塞を認めた.手術は1例を除き,短絡病変の完全な修復のほかに弁病変を有する症例に対して,機械弁置換術5例,弁形成術4例,人工弁移植を伴わない弁切除術(弁切除非置換術)3例を,大動脈弁5弁,僧帽弁2弁,三尖弁3弁,肺動脈弁3弁に対して施行した.1例が局所感染の残存による仮性大動脈瘤破裂で遠隔死したが,累積観察期間平均7.6年で実測生存率90%であった.若年者の三尖弁IEに対して弁形成が不可能な場合,機械弁置換術後の遠隔予後は必ずしも良好とは言えず,また三尖弁完全切除を施行した1例では右心不全の監視が重要となり問題を残した.肺動脈弁切除例は術後問題なく健在である.
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公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
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