症例 大動脈弁置換術後高度溶血の2症例
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概要
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人工弁置換術後の血管内溶血は時として重篤な合併症となる.今回我々は大動脈置換術(AVR)後に高度の溶血をきたした2症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.<BR>症例1は65歳女性.意識消失発作を認め,精査の結果大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症,僧帽弁閉鎖不全症の診断で大動脈弁置換術および僧帽弁形成術を施行した.術直後より溶血を認め,貧血に対して輸血を必要とした.溶血の原因が不明のために対症療法を行うも, 腎不全より多臓器不全となり死亡した.<BR>症例2は55歳男性.労作時呼吸困難を主訴とし来院,大動脈弁閉鎖不全症,僧帽弁狭窄症の診断で二弁置換術を施行した.術後,血清間接ビリルビン,LDHの上昇を認め,術後心臓カテーテル検査にて大動脈弁の不完全閉鎖による逆流が原因と判明し,再弁置換術を施行し軽快した.人工弁置換術後に高度の溶血を認めた場合には,原因がはっきりしない場合においても,再手術を考慮しなければならない.
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公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
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