臨床 急性左心不全例における平均肺動脈楔入圧および心係数の非侵襲的推定:ドプラ肺静脈血流速波形の解析による
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
急性左心不全の血行動態を把握することは臨床上重要であり,その評価には従来より観血的手法による左房圧および心係数が用いられてきた.本研究では,これらの指標をドプラ肺静脈血流速波形の解析により非侵襲的に推定し得るかを明らかにした.対象はNYHA心機能分類III度以上の急性心不全例19例.全例右心カテーテルを肺動脈内に留置し,心不全治療前後の平均肺動脈楔入圧(PCWP)および心係数(CI)を計測した.同時に胸壁より超音波パルスドプラ法を用い肺静脈・左室流入血流速波形を記録した.肺静脈血流速波形から収縮期,拡張期ピーク速(S,Dcm/s),およびその時間積分値(TVI-S,TVI-D)を,左室流入血流速波形から拡張早期,心房収縮期ピーク速(E,Acm/s),およびその時間積分値(TVI-E,TVI-A)を求め,これらのドプラ諸指標と血行動態諸指標を多変量解析を用い比較検討した.〔結果〕(1)PCWPはDとの間に最も良好な相関を認めた(r=0.79).CIはSとの間にのみに有意な正相関を認めた(r=0.79).(2)多変量解析の結果,PCWPは推定式13.8+0.41*D-1.35*TVI-D-4.05*TVI-S/Dにより,またCIは推定式1.63+0.043*S-0.628*S/Dにより推定することができた(各々r=0.89,r=0.87).しかし,左室流入血流速波形の指標のみの組合せでは両指標を正確に推定し得なかった.観血的手法により計測される平均肺動脈楔入圧および心係数は,ドプラ肺静脈血流速波形の解析により非侵襲的に推定し得ることが示唆された.
- 公益財団法人 日本心臓財団の論文
公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
- 臨床 発作性上室性頻拍症の自然停止様式
- 症例 急性心筋梗塞を合併した大動脈炎症候群の1剖検例
- 臨床 さまざまな疾患に出現する臥位性期外収縮の分析
- 第46回循環器負荷研究会 特発性心室頻拍の高周波カテーテルアブレーション前後での運動負荷試験に対する反応:電気生理学的検査(心室プログラム刺激)との比較検討
- 症例 2種類の心房周期をもつ慢性心房頻拍の1例