臨床 無症候性心筋虚血の成因における知覚低下の関与:特に糖尿病症例において
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概要
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運動負荷試験を用い,無症候性心筋虚血の臨床像を検討した.<BR>方法および結果:エルゴメーター運動負荷試験陽性で冠動脈造影を施行し,冠動脈に有意な狭窄を認めた155例のうち,胸部症状を有する群(有症候群,n=66例)と有さない群(無症候群,n=89例)に分けた.運動負荷量,年齢,性差,冠動脈罹患枝数,心筋梗塞の有無には両群間に有意差はなかった.また,高血圧症,高脂血症の合併率も両群間に差異はなかった.一方,糖尿病の合併率は無症候群で有意に高く,温度痛覚閾値は無症候群で有意に高かった.次に,心筋虚血の程度を変える目的で運動負荷試験に比し,より高度の心筋虚血を引き起こすと考えられるPTCAのballoon inflation時における胸部症状の有無について検討した.結果,糖尿病を合併した無症候群においても約64%で胸部症状が出現し,無症候は痛覚閾値が高いためと考えられた.<BR>総括:糖尿病における無症候性心筋虚血の原因として,心筋虚血の程度のみならず糖尿病性神経障害による知覚低下が重要な役割を果たしていると推察された.
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