研究会 第6回 蔵王カンファランス 冠側副血行循環に関する最近の見解
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概要
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ヒトの冠側副血行路の機能的意義に関しては,生理学的代償機序か心筋虚血重症度の指標かという点で見解の相違がある.急性心筋梗塞の後,早い時期に血栓溶解療法が行われた機会に,冠動脈造影によって冠側副血行路の種々の解析を行った.その結果,側副血行路の発達には心筋の虚血が必要であること,形成された側副血行路は梗塞心筋を実際に灌流すること,そして側副血行路の存在は心筋梗塞において障害組織を保護する上には限界があっても,心室瘤の形成は明らかに阻止するものであることが明らかにされた.<BR>動物実験で短時間の冠動脈閉塞を繰り返すと最終的には同じ冠閉塞によって局所壁運動の障害や,反応性充血が起こらなくなり,側副血行循環が発達したことが示唆される.この反応はheparinを併用することによって促進される.Heparinの血管新生促進効果は血管内皮の生長因子とレセプターの結合を増加することと,FGFが非活性化されることを阻止することに関係すると考えられている.この作用を臨床に応用してheparin前処置の下で運動負荷を繰り返し側副血行を発達させることを試みた.この方法が冠動脈疾患の新しい治療法に発展することを期待する.
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公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
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