症例 心筋梗塞後早期に形成が確認された, 二腔を有する仮性心室瘤の1剖検例
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概要
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急性心筋梗塞後極めて早期に形成が確認され,剖検にて特異な形態をみた仮性心室瘤の1例を経験したので報告する.症例は57歳の男性.前立腺癌および骨転移のため平成元年12月に除睾術を施行され,その後外来通院していた.平成2年2月16日に胸痛が出現.2月18日に当科を受診し,下壁の急性心筋梗塞の診断で入院となった.入院時心エコー図では左室下壁の壁運動低下と少量の心嚢水貯留を認めたのみであったが,入院4日目には後壁から側壁にかけての心室瘤および左室後壁外側にecho freespaceがみられた.胸部CT,RI所見を総合して仮性心室瘤が疑われたが,進行した悪性腫瘍があるため保存的に経過を観察し,平成2年7月に癌の肺転移による呼吸不全のため死亡した.剖検にて左室後壁に約1mmの菲薄化した壁を有する心室瘤を認め,その一部よりさらに側壁側に心室瘤内腔が突出していた.顕微鏡所見で第1,第2の心室瘤壁ともに,心内膜および残存心筋細胞を全く認めず仮性心室瘤と診断した.本症例は心筋梗塞第6病日に心エコー図にて仮性心室瘤が確認されており,従来の報告に比し極めて早期の形成であった.また左心室との交通口が大きく二腔を有するという形態学上の特徴を認め,さらに心室瘤切除術を施行せずに経過を観察しえたまれな症例と考えられた.
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公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
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