症例 大動脈炎症候群が疑われた左冠動脈主幹部完全閉塞の1例
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概要
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我々は大動脈炎症候群によると思われる左冠動脈主幹部完全閉塞例を経験したので報告する.症例は58歳男性,職場検診で心電図異常を指摘され当科受診した.明らかな自覚症状は認めなかったが,大動脈壁に小石灰化巣が散在し両側鎖骨下動脈,左冠動脈に狭窄・閉塞病変を認めた.左冠動脈は入口部で完全閉塞しており,発達した右冠動脈からの良好な側副血行を介して造影された.心電図上は左室肥大を認めるのみで,左心室造影も正常であった.大動脈炎症候群による冠動脈病変は,その約10%に見られ近位部に多いとされるが,一度閉塞すれば重篤な症状を呈する左冠動脈主幹部病変の慢性完全閉塞例はきわめてまれである.また,本例では明らかな狭心症状の既往はなく,無症候性に左心機能を何ら障害することなく完全閉塞に至ったと考えられ非常に興味深い.このような例は我々が調べた範囲ではいまだ報告されていない.さらに,左冠動脈主幹部病変は外科的治療の絶対適応とされているが,無症状で安定した冠血行動態が得られ心機能が保持されているこのような場合は,左冠動脈主幹部病変でも一定期間内科的治療も考慮されるべきであると思われた.
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公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
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