症例 急性心筋梗塞に伴う心室中隔穿孔閉鎖術後左心補助人工心臓を使用した1例
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概要
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急性心筋梗塞に伴う心室中隔穿孔に対し緊急手術を施行,術後重篤な心不全に陥ったため左心補助人工心臓を使用して,心不全状態から脱却せしめた症例を報告する.症例は65歳,女性,心室中隔穿孔発症後,心原性ショックに陥り薬物療法,IABP等も無効で緊急手術により心室中隔穿孔部位をパッチ閉鎖した.術後体外循環離脱不能となり,左心補助人工心臓を使用した.本症例では両心不全の血行動態であったため,大量のカテコールアミンを使用しつつ左房-大動脈バイパスの形での左心補助人工心臓の駆動を行ったが,心機能は徐々に回復し,20日後に補助心臓からの離脱に成功した.心機能はその後も回復を続け,一切の強心剤による補助も必要としないまでに至った.しかし閉塞性呼吸障害が残存し,人工呼吸から離脱できないまま,術後123日,多臓器不全にて死亡した.剖検にて梗塞領域は心室中隔の50%,左室自由壁の30%を占める,広範なものと判明し,かかる重症の心筋障害例をも補助人工心臓使用により救命できる可能性が示唆された.
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