研究 狭心症時の右側胸部誘導における-過性陽性U波増高の意義:左回旋枝/右冠動脈狭窄の指標
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概要
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ST下降は,狭心症の診断に不可欠な心電図指標であるが,それにより冠狭窄枝を推定することは困難である.一方,陰性U波(NU)は,高度冠狭窄枝ないし心筋虚血領域と関連が深い指標とされている.さきに著者らは,「右側胸部誘導のT波減高を伴う一過性陽性U波増高(PU)」は,左回旋枝(LCX)高度狭窄ないし後下壁虚血の指標となる可能性を述べた.<BR>今回,狭心症発作時の12誘導心電図記録が得られ,かつ冠動脈造影で少なくとも1枝以上に75%以上の狭窄を認める狭心症84例を対象として,罹患冠動脈枝別にST下降,NUおよびPUの出現頻度を調査した.ST下降は,LCX狭窄の83%,RCA狭窄の82%,LAD狭窄の85%に出現し,NUはLAD狭窄の63%,LCX狭窄の57%,RCA狭窄の41%にみられた.一方PUは,LAD狭窄例には1例もみられなかったのに対し,LCX狭窄の83%,RCA狭窄の62%に出現した.また,PUは<SUP>201</SUP>Tl心筋シンチグラフィによる検討から後下壁虚血の表現であることが明らかとなった.従ってPUは,LCXあるいはRCA狭窄,後下壁虚血に特異性が高い所見と考えられた.
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