症例 持続性心房頻拍による左心不全を伴う多発性のう状右心耳憩室の1治験例
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概要
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生下時からの持続性の心房頻拍により,左心機能低下をきたした症例に対し,電気生理学的検査に基づく外科的治療を行い,頻拍の根治に成功した.症例は,9歳男児.生下時より心室レート140~180/minの心房頻拍が持続したが,薬剤治療は無効であり,当科受診時,心胸郭比73%,駆出率16%と左心不全状態を呈し,安静にても150~300/minの心房レートが持続していた.術前の電気生理学的検査により,頻拍は異所性自動能充進によるもので,そのフォーカスは右心耳付近であることが予測された.手術時,右心耳を中心に3つの右心耳憩室の形成が認められ,その1つの根部に最早期興奮を認めた.憩室およびその根部の筋性部を含めた切除により,頻拍は速やかに停止し,正常洞調律となった.術後,頻拍は消失し,再発もなく,心機能も徐々に回復しつつある.右心耳憩室に異所性自動能充進による持続性心房頻拍を合併した症例は本邦では初めてであるとともに,かかる頻拍による著明な心不全をきたす症例の存在に留意する必要があると考えて報告した.
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公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
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