臨床 Pulmonary wedge angiographyによるダウン症候群心疾患児の肺血管床の検討
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概要
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先天性心疾患をもつダウン症候群の肺血管床の特徴を調べるために,心臓カテーテル検査時にpulmonary wedge angiography(PWA)を施行した.ダウン症候群心疾患児32例と対照の染色体正常心疾患児46例を,肺高血圧(PH)の程度によりそれぞれ3群に分けて検討した.<BR>染色体正常例では,肺血流量の増加のみではPWA所見はほぼ正常で,PHを発症すると肺動脈のtaperingが急になり,さらに肺血管抵抗が上昇すると,細い分枝や毛細血管像の減少,肺動脈の蛇行などの所見の増加が見られた.ダウン症候群では,PHの有無にかかわらず全体的に肺動脈のtaperingがゆるやかなこと,染色体正常例に比べて分枝や毛細血管像の減少が高頻度で,肺動脈の蛇行例が少ないことなどが特徴的であった.<BR>この結果から,ダウン症候群では肺血管床の発育や,血圧に対する肺動脈系の反応が,染色体正常例と明らかに異なることが示唆された.この肺血管床の異常は,ダウン症候群においてPHが高頻度で早期に発症する原因のひとつであると思われた.
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