症例 PTCR後に心破裂をきたした心筋梗塞の1症例
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概要
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症例は,61歳,男性で,既往歴に特記事項なし.家族歴として妹に心筋梗塞あり.入院1週間前より狭心症様症状がみられ,4月20日,持続性の胸痛出現し来院した.心電図上,広範前壁側壁心筋梗塞で,V<SUB>1</SUB>-V<SUB>4</SUB>で異常Q波が認められた.来院時,CPK250U/l,CPK-HB18U/lと上昇していたが,梗塞巣拡大防止のためPTCRが施行され,完全閉塞していたsegment6は,胸痛出現4時間30分後に再開通しはじめ,UK96万単位にて90%の狭窄を残し再開通した.同日夕方より,深吸気にて胸痛を訴え,心膜摩擦音を聴取するようになった.翌日より,血圧の下降および右心房圧の上昇が認められるようになり,心臓超音波検査にて心嚢水の貯留を認めた.心嚢穿刺にて血性であったため,心破裂と診断し,三重大学胸部外科に転科した.転科後,336mJの血性心嚢水(Ht46%)が吸引され,Swan-Ganzカテーテル所見は著明に改善された.手術にて,左室前壁-心尖部にかけて8×4cm大の出血性梗塞を認め,その中に2カ所の破裂部を認めた((1)segment10に沿った破裂部,(2) 心尖部の破裂部).我々の症例では,胸痛出現4時間30分後に閉塞冠動脈の再開通をみたが,来院時,すでに貫壁性の心筋梗塞をおこしていたと考えられ,時間的に問題があったのかも知れないが,PTCRと心破裂の関係については,今後さらに検討を要するところであると思われる.
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公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
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