症例 心室中隔に起源を有する心室頻拍の1治験例:特に術前心内膜マッピングの有用性について
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概要
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症例は48歳の男性で,10年前に心筋梗塞の既往がある.4年前に健康診断で不整脈を指摘されたが放置していた.入院6カ月前に初めて動悸が出現し,心電図上心室頻拍(VT)が認められたため入院した.VTはほぼ終日出現し,プロカインアミド(4,000mg/日),ジソピラミド(400mg/日),メキ・シレチン(400mg/日),フェニトイン(500mg/日),ベラバミル(240mg/日)の単独ないし併用を行っても心拍数減少を認めるのみで,発作を停止させることができなかった.そのため,手術を前提として電気生理学的検査(EPS)を行った.VTはプログラム刺激で停止するがただちに再開した.心内膜カテーテルマッピングでは,心室中隔の左室側にVTのQRS波に20msec先行する興奮部位を同定でき,同部のペーシングでVTと同一心室群波形を示す標準誘導心電図を記録できた.左室は,心尖部を中心に瘤を形成し,冠動脈造影で左前下行枝に狭窄を認めた.術中の心表面マッピングで,最早期興奮部位を左室後壁中隔寄りに認めたが,VTのQRS波に先行していなかった.心室切開後VTは消失し,誘発も不可能であった.中隔からのペースマッピング所見と術前のEPS所見から,心内膜剥離および冷凍術部位を決定した.術後VTは消失し,1カ月後のEPSでもVTを誘発できなかった.本例は中隔に起源を有するVTで,心内膜マッピングが有用であった.
- 公益財団法人 日本心臓財団の論文
公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
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