症例 Rastelli手術後の細菌性心内膜炎によりvalved conduitの狭窄および右肺動脈完全閉塞をきたした症例の手術経験
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Rastelli手術は人工血管,人工弁を用いるため長期予後の面で多くの問題を残している.著者らは,Rastelli手術施行後に細菌性心内膜炎に罹患し,valvedconduitの狭窄と右肺動脈閉塞をきたした症例の手術を経験した.症例は2歳10カ月の女児で,生後11カ月時に肺動脈閉鎖症+心室中隔欠損症の診断のもとに,心室中隔欠損パッチ閉鎖術と右室一左右肺門部をHancock弁つきグラフトでバイパスするRastelli手術を受けた.この時,明らかな肺動脈が他に存在しなかったため,左右Majoraortopulmonary collateral arteryとグラフト末梢側が吻合されている.約1年後にHemophilus parainfluenzaによるSBEをきたしたが,抗生剤にて解熱した.心臓カテーテル検査で右肺動脈の閉塞と右室一左肺動脈間に55mmHgの圧較差を認めたので,体外循環下にGore-Tex弁なしグラフトを用いexternal conduitの置換を行った.摘出グラフト内全体にneointimal peelが認められ,右肺動脈は白色の固い組織で閉塞していた.術後経過は良好で,ほとんどカテコールアミンも必要としなかった.機'能的に片肺であるにもかかわらず,術後2日目に人工呼吸器より離脱し得た.術後は右室収縮期圧52mmHgと低下し,左肺動脈収縮期圧40mmHgと圧較差もほとんど消失した.本症例のようなRastelli再手術例はこれまで報告がなくまれと思われ,肺血管床の減少した本症例においても弁なしグラフトで良好な術後経過をとったので考察を加え報告する.
- 公益財団法人 日本心臓財団の論文
公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
- 臨床 発作性上室性頻拍症の自然停止様式
- 症例 急性心筋梗塞を合併した大動脈炎症候群の1剖検例
- 臨床 さまざまな疾患に出現する臥位性期外収縮の分析
- 第46回循環器負荷研究会 特発性心室頻拍の高周波カテーテルアブレーション前後での運動負荷試験に対する反応:電気生理学的検査(心室プログラム刺激)との比較検討
- 症例 2種類の心房周期をもつ慢性心房頻拍の1例