症例 カテーテル心筋焼灼法(catheter ablation)による心室性不整脈の1治験例
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概要
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最近われわれは小児の心室性頻拍症をcatheter ablationで治癒し得たので報告する.症例は10歳男子.7歳頃より頻拍発作が出現し,次第に増悪するため当科を受診した.電気生理学的検査の結果,左室後中隔心尖部寄りに最早期興奮部位を有するリエントリー型心室性頻拍症と診断し,左室心尖部の心筋切開兼冷凍凝固術を施行した.しかし,心筋切開後sustained VTが誘発されず,心内膜マッピングが不十分であったため,最早期興奮部位の冷凍凝固が十分できず,術後1.5カ月後に頻拍発作が再発した.左心室に対する再手術は術後低心拍出症候群となる危険性があるため,catheter ablationによる頻拍の起源の焼灼を行った.すなわち,左心室内に挿入したカテーテル電極と直流除細動器を用い,最早期興奮部位を60Jで焼灼した.catheter ablation後,頻拍発作は完全に消失し,合併症も認めなかった.catheter ablation後3週間目に施行した電気生理学的検査でも頻拍は誘発されず,現在術後6カ月で全く頻拍発作をみず,頻拍は治癒したものと考えられる.
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