研究 閉塞冠動脈再開通の指標としての早期Tc-99m-PYPシンチの臨床的検討
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概要
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経静脈的冠動脈内血栓溶解療法が行われるようになって,非観血的にその効果を早期確認できる有効な方法が必要となっている.一方,Tc-99m-PYP(PYP)心筋シンチは梗塞巣を陽性像として発症12時間以降に明らかにするとされてきた.今回,冠動脈内血栓溶解療法を行った34名に急性心筋梗塞発症後2.8から9.3時間の早期にPYPシンチを行った.その結果,造影遅延のない良好な再開通を認めた27例中24例に早期陽性像をみた.一方,血栓溶解療法不成功の7例はすべて陰性であった.このうち,3例は良好な側副血行路を持っていた.さらに,CK,MB-CKの早期peaking(発症後16時間以内)との比較を行った.梗塞血管再開通予測に対するsensitivity, specificity, predictive accuracyは,早期PYPシンチで89%,100%,91%であり,これらはすべてCK, MB-CKの早期peakingのそれよりも上回った.<BR>以上より,血栓溶解療法直後になされる早期PYPシンチは,きわめて有効な再開通の非観血的診断法といえる.また,この早期陽性化の機序は,急速な再開通による過剰なCaイオンの虚血心筋細胞内への流入による(reperfusion necrosis)と考えられる.
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公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
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