症例 肥大型心筋症の合併が疑われた心房中隔欠損症の1例
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概要
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ASDに左室肥大を合併することはまれである.われわれは, 心電図および左室造影で著明な左室肥大を示したASDの1例を経験した. 症例は44歳の男性. 高血圧150/90-100mmHgがあり, 検診で心雑音と心拡大を指摘された. 聴診にて, 第2肋間胸骨左縁の収縮期雑音と II音の固定性分裂があり, 心エコー図では, 心室中隔の厚さ 1.5cm, 左室後壁の厚さ 1.1cmで, 右室径の拡大があり, 心室中隔の動きは低下していたが奇異性運動ではなかった. 心臓カテーテル検査にて, 肺動脈圧 31/11(平均20)mmHg, 右室拡張末期圧 15mmHg, 左室拡張末期圧も 21mmHgと上昇し, Qp/Qsは2.30であった. 本症例には軽度の高血圧があるが, 高血圧の程度とは不釣り合いな, 著明な心電図上の左室肥大, 特徴的な左室造影所見より, ASDに合併した肥大型心筋症が強く疑われた. 治療方針の決定のため, ASD閉鎖試験も試みた.
- 公益財団法人 日本心臓財団の論文
公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
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