症例 部分的肺静脈還流異常に合併した気管支動脈-肺動脈吻合の1例:9年後の心血行動態および形態の比較検討とその成因についての考察
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概要
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正常肺における気管支動脈-肺動脈吻合は機能的に閉鎖しており,チアノーゼ性先天性心疾患や気管支拡張症,肺癌などの呼吸器疾患で二次的に発達することが知られているが,先天的なその発達はまれとされる.今回著者らは部分的肺静脈還流異常を件った気管支動脈-肺動脈吻合と考えられる例の経過観察中に肺血栓塞栓を発症し,9年後に再び形態学的および血行力学的に検討する機会を得た.症例は48歳の男性,1972年に肺異常陰影の精査のため当科入院.部分的肺静脈還流異常と気管支動脈-肺静脈吻合と診断し経過観察していたが,1980年10月肺血栓塞栓症と思われる左前胸部痛,咳漱,血疾が出現,1981年2月再入院し諸検査を行った.気管支動脈-肺動脈吻合形態は9年前と変化なく,右室圧,肺動脈圧が軽度上昇していた.本例における同吻合の成因として,先天的発生が考えられるが,肺血栓塞症による後天的発生も否定できず,これについて考察を加えた.
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