研究 心臓カンジダ症:15剖検例の臨床病理学的解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
過去11年間における872例の剖検例のうち,15例の心臓カンジダ症につき,臨床病理学的に解析した.これらは昭和49年以前には認められず,15例中14例が昭和51年以降に集中していた.半数以上が60歳以上(平均年齢55.5歳)で,11例が悪性腫瘍例であり,いずれも2種以上の抗生剤や,副腎皮質ホルモン,制癌剤による治療を受けていた.15例の心臓カンジダ症は,病理学的に生体防御反応の低下を示すものが多く,全例,カンジダ性敗血症の一環として発症したものであった.15例中11例が心筋に多発性微小膿瘍形成を呈したが,カンジダおよびアスペルギルスの重複感染による疣贅性心内膜炎や線維素性心外膜炎などの重篤な心臓病変も少数例にてみられた.15例中13例に抗生剤に反応しない持続性高熱が出現し,13例とも高熱出現後,短期間(平均18日)で死亡したが,15例の心臓カンジダ症はこの高熱以外の臨床症状にきわめて乏しく,特異的な心臓徴候や心電図変化はほとんど出現せず,生前診断例は皆無であった.
- 公益財団法人 日本心臓財団の論文
公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
- 臨床 発作性上室性頻拍症の自然停止様式
- 症例 急性心筋梗塞を合併した大動脈炎症候群の1剖検例
- 臨床 さまざまな疾患に出現する臥位性期外収縮の分析
- 第46回循環器負荷研究会 特発性心室頻拍の高周波カテーテルアブレーション前後での運動負荷試験に対する反応:電気生理学的検査(心室プログラム刺激)との比較検討
- 症例 2種類の心房周期をもつ慢性心房頻拍の1例