研究 降圧薬の夜間血圧に及ぼす影響:カプトプリルおよびカルテオロールの単独および併用効果
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概要
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本態性高血圧患者8例(平均年齢54歳)において降圧薬の血圧日内変動特に夜間血圧に及ぼす影響を検討した.同一症例に偽薬を4週間投与し,その後β遮断薬カルテオロール(CRT),アンジオテンシンI変換酵素阻害薬カプトプリル(CPT)および2剤併用をそれぞれ8~10週間投与し,非観血的24時間血圧の測定を行った.24時間血圧平均値では偽薬投与中(158.6/94.0 mmHg) に比し, C R T 投与(147.5/87.8),CPT投与(143.7/87.1)で有意の降圧が見られた.日中血圧の検討では偽薬投与(167.3/102.9)に比し,CRT投与(150.2/90.6),CPT投与(147.6/91.7),併用投与(142.1/85.9)で有意の降圧がみられたが,CRTとCPTの間には明らかな差を認めなかった.夜間血圧の検討では偽薬投与(144.7/86.3)とCRT投与(143.7/83.5)との間には明らかな差を認めなかったが,CPT投与(129.6/75.3),併用投与(131.4/76.9)では偽薬投与に比し有意の降圧を認めた.また,CRT投与中の血圧はCPTの血圧よりも有意の低下を認めた.CPTの夜間血圧と併用投与の夜間血圧との間には明らかな差を認めなかった.日中-夜間血圧差では偽薬投与(22.6/16.6)とCPT投与(18.1/16.4)との間には明らかな差を認めなかったが,CRT投与(6.6/7.1)中には偽薬,CPT,2剤併用投与中より有意な低値を示した.さらに2剤併用投与中の血圧差はCPT,CRTと明らかな差を認めなかった.以上よりACE阻害薬は血圧日内変動に影響を与えないが,ISAを持つCRTは夜間の降圧は軽度であった.さらに,CPTによるA-IIの低下によってCRTの夜間降圧減弱作用を消失させることから併用投与中の夜間血圧はCPTの夜間血圧と差を認めなくなった.
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