国内の養豚一貫生産農場における収益性および生産性の分析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
この研究は,日本の養豚農家を対象としたベンチマーキングシステムの構築を目的として行われた。2010年に94戸の一貫生産の養豚農家から得られたデータを用いて,利益や生産指標の記述統計値を取りまとめた。母豚当たりの年間の粗利益,出荷枝肉重量,枝肉販売金額,飼料単価の平均と標準偏差は,$4,633/母豚±861,1,608kg/母豚±184,$5.47/kg±0.31,$0.51/kg±0.05であった。母豚当たりの年間の離乳頭数,分娩回数,分娩当たりの生存産子数の平均と標準偏差は,23.0頭±2.19,2.33回±0.12,10.79頭±0.79であった。離乳後死亡率と飼料要求率との間,また哺乳中死亡率と生存産子数との間に有意な相関が認められた(P<0.01) 。生産ツリーの中で感受性分析を行った結果,1キロ当たり枝肉価格の変動が,農家の粗利益に最も大きく影響していた。このベンチマーキングシステムは農家の生産ラインの中の弱点を検出し,生産性の改善による増収益の推定値は,農家の経営改善の取り組みへの強い動機付けとなることが考えられた。
- 獣医疫学会の論文
著者
-
山根 逸郎
独立行政法人 農業技術研究機構 動物衛生研究所
-
山根 逸郎
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所ウィルス・疫学研究領域
-
石関 紗代子
サミットベテリナリーサービス
-
山崎 尚則
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所ウィルス・疫学研究領域
関連論文
- 乳牛及び肉牛の放牧場の全国実態調査(中間報告)
- 日本における乳用牛のネオスポラ症による流産の割合(寄生虫病学)
- 大規模養豚場におけるPRRS発生による経済的損失の評価
- 台湾における豚の口蹄疫の発生と地理情報システム(GIS)を用いた疫学的解析
- 韓国で発生した口蹄疫とわが国への侵入リスクについて
- 牛サルモネラ症の実態調査
- 乳牛のネオスポラ症による全国的な経済損失の推定
- 牛ネオスポラ病診断方法の疫学的評価
- 牛初代脳培養系における牛インターフェロンγと腫瘍壊死因子のネオスポラ原虫増殖抑制効果(短報)
- わが国における乳牛のネオスポラ症による経済損失
- 乳牛のアカバネ病による乳生産量の損失(臨床繁殖学)
- 輸入牛におけるネオスポラの抗体保有状況と抗体測定ELISAの評価
- Salmonella Typhimurium感染による乳用牛の成牛型サルモネラ症の発生要因分析 (日本産業動物獣医学会会誌)
- 牛乳房炎発生に関わる要因分析
- EUにおけるBSE発生状況
- PRRSの発生に関わる呼吸器疾患および繁殖障害などによる経済的な損失調査 : アンケートを用いた疫学調査と全国の被害損額の推定
- PRRSの発生に関わる呼吸器疾患による経済的な損失調査 : 6農場を対象にした調査結果
- 国内の養豚一貫生産農場における収益性および生産性の分析