P4-05 全身性エリテマトーデス(SLE)治療におけるチトクロームP450(CYP)3A5遺伝子多型とタクロリムス(TAC)血中濃度および疾患活動性との関連について
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概要
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【目的】タクロリムス(TAC)の体内動態は個体間での変動が大きく血中濃度測定の対象薬物になっている.これまでに臓器移植症例においてチトクロームP450(CYP)3A5遺伝子の多型がTACの血中濃度に影響することが知られているが,膠原病疾患での報告は少ない.そこでSLE寛解維持療法中の患者において,CYP3A5遺伝子多型がTAC血中トラフ濃度や疾患活動性に及ぼす影響について検討した.【方法】6ヶ月間以上TAC 3 mg/dayを継続して内服し,かつ同時期にプレドニゾロン以外の免疫抑制剤やCYP3A阻害作用を有する薬物を併用していない腎機能正常なSLE患者を対象とした.TACトラフ濃度を測定し,PCR-RFLP法にてCYP3A5遺伝子多型解析を行った.SLEの疾患活動性はSLEDAIを用いて評価した.【結果・考察】同意が得られたSLE患者は21名,CYP3A5の遺伝子型は,*1/*1 : 3名,*1/*3 : 8名,*3/*3 : 10名であり,遺伝子頻度はこれまでの日本人で報告されている結果とほぼ同比率であった.疾患活動性と遺伝子多型との間に関連は認められなかった.CYP3A5*3/*3群と比較し,*1を有する群ではTAC血中濃度が有意に低値であり,TACのExtensive Metabolizer (EM)であることがわかった.アジア人では白人より*1の頻度が高いため,画一した投与量では有効治療域に達しない可能性も示唆された.CYP3A5の遺伝子型を評価することで,TAC治療の有効性を事前に予測することができるかもしれない.
著者
-
前島 圭佑
大分大学医学部総合内科学第一(膠原病内科)
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浜崎 一
大分大学医学部総合内科学第一(膠原病内科)
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大橋 京一
大分大学医学部 臨床薬理学講座
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石井 宏治
大分大学医学部 内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学講座
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柴田 洋孝
大分大学医学部 内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学講座
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今井 浩光
大分大学医学部 臨床薬理学講座
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