W3-1 HLA class II拘束性WT1特異的T Cell Receptor遺伝子導入によるヘルパー活性とキラー活性を有するCD4+T細胞の作製
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概要
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癌抗原であるWT1は白血病や固形癌などに高発現しており,WT1を標的とした癌免疫療法が世界中で行われている.理想的な抗腫瘍免疫応答の惹起には,癌抗原特異的CD4+T細胞を誘導することが望ましいことから,我々は,多数のHLA class II分子に結合し特異的なCD4+T細胞を誘導することの出来るWT1由来ヘルパーペプチドであるWT1332特異的CD4+T細胞由来のTCR遺伝子の単離とそのTCR遺伝子を導入されたCD4+T細胞の機能解析を行った.日本人の約60%にみられるHLA-DPB1*05 : 01拘束性WT1332特異的CD4+T細胞クローンよりTCR遺伝子を単離し,レンチウイルスベクターを用いて健常人CD4+T細胞に遺伝子導入した.そのCD4+T細胞はWT1332特異的な増殖能・Th1サイトカイン産生能を示し,その特異性は長期間安定であった.さらに,このTCRを導入されたCD4+T細胞をautologous PBMC(HLA-A*24 : 02陽性,HLA-DPB1*05 : 01陽性)とともにHLA-A*24 : 02拘束性WT1由来CTLエピトープおよびWT1332存在下で培養することで,WT1特異的CTLの誘導が顕著に増強された.また,このTCRを導入されたCD4+T細胞はパーフォリン/グランザイムB経路を用いてWT1特異的かつHLA-DPB1*05 : 01拘束性に白血病細胞を直接傷害した.以上より,我々が単離したWT1332特異的TCR遺伝子を導入することでCD4+T細胞に抗原特異性を付与することが可能であり,この手法を用いて詳細な抗腫瘍免疫応答におけるCD4+T細胞の機能解析を行うことが出来ると思われる.
- 日本臨床免疫学会の論文
著者
-
杉山 治夫
大阪大学大学院医学系研究科 機能診断科学
-
中島 博子
大阪大学大学院機能診断科学
-
尾路 祐介
大阪大学大学院医学系研究科 生体情報科学
-
坪井 昭博
大阪大学大学院医学系研究科 癌ワクチン療法学
-
熊ノ郷 淳
大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学
-
保仙 直毅
大阪大学大学院医学系研究科 生体情報科学
-
岡 芳弘
大阪大学大学院・医・呼吸器免疫アレルギー内科
-
藤木 文博
大阪大学大学院・医・癌免疫学
-
林 ユウ宏
大阪大学大学院・医・呼吸器免疫アレルギー内科
-
勝原 晶子
大阪大学大学院・医・機能診断科学
-
青山 奈央
大阪大学大学院・医・機能診断科学
-
谷井 里江
大阪大学大学院・医・機能診断科学
-
森本 創世子
大阪大学大学院・医・機能診断科学
-
杉山 治夫
大阪大学大学院・医・機能診断科学
-
坪井 昭博
大阪大学大学院・医・癌ワクチン療法学
-
熊ノ郷 淳
大阪大学大学院・医・呼吸器免疫アレルギー内科
-
中島 博子
大阪大学大学院・医・癌免疫学
-
尾路 祐介
大阪大学大学院・医・癌幹細胞制御学
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