スルピリドおよびロラゼパムの関与が否定できなかった急性肺塞栓症の1例
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概要
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症例は49歳, 男性. 2年前よりうつ病に対して向精神病薬のスルピリドおよびロラゼパムが近医より投与されていた. 近医からの帰宅中に一過性意識消失を生じたため当院に救急搬送された. 来院時の血圧は86/40mmHg, SpO2は90%であった. 心電図検査の施行中に突然に心肺停止となった. 心肺蘇生を行いながら撮像した造影胸部CTでは両側肺動脈主幹部に血栓像が認められた. 肺塞栓と診断しPCPSによる補助循環療法を試みたが救命できなかった. 剖検では両側肺動脈主幹部に血栓が認められた. また悪性腫瘍の合併は認められなかった. 血液検査では血栓症の原因となる明らかな異常所見は認められなかったため, 薬剤に起因する肺塞栓症が示唆された. スルピリドおよびロラゼパムに起因すると考えられる肺塞栓症は稀と考えられたため報告した.
著者
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長尾 強志
犬山中央病院循環器センター
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坪井 宏樹
犬山中央病院循環器センター
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伊藤 一貴
犬山中央病院循環器センター
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鶴山 幸喜
犬山中央病院循環器センター
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浅野 由祐子
犬山中央病院循環器センター
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