性別判定における大腿骨骨幹中央部断面形状の有用性:縄文人と現代日本人を例として
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概要
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本研究では,性別判定における大腿骨骨幹部の有用性について論じるため,大腿骨骨幹中央部断面形状の性的二型性について調査した。資料は愛知県保美貝塚遺跡出土の縄文人31体(男性14体,女性17体,約3000~2300 BP),明治・大正期の関東地方人42体(男女各21体,年齢範囲20~50歳)の個体骨格を用いた。内部断面計測ではマイクロCT装置を導入した。画像処理にはImageJとCT-Rugleを使用した。解析に際しては断面特性値ごとにWilksのλと男女的中率を算出した。その結果,2集団に共通して,大腿骨骨幹中央部では骨質断面積が最良の性判別指標であることがわかった(縄文人:λ = 0.230,的中率96.8%,現代日本人:λ = 0.469,的中率85.7%)。また縄文人では骨体中央矢状径,外周,外形断面積,最大断面2次モーメント,断面2次極モーメントにおいても90%超の高い確度で男女が正判定された(λ:0.311~0.362,的中率:93.5~96.8%)。一方,現代日本人では骨質断面積以外の項目を個別に適用しても信頼性の高い判別はなされなかった(λ:0.514~0.876,的中率:61.9~81.0%)。本研究では,性別不明のヒト骨格において,大腿骨骨幹中央部の骨質断面積が非常に有力な判別指標となることが示唆された。
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