外転型痙攣性発声障害における語頭無声子音を含むモーラ/ta/におけるVOT値
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概要
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目的:痙攣性発声障害(以下,SD)は,いわゆる機能性音声障害との鑑別等,独立した音声疾患としての定義がいまだ確立しているとはいえず,その重症度・治療効果に関する標準的な評価法は確立されていない.そこで,われわれはSDの音声症状である間欠的な声の途切れを定量的に評価し,その特徴を明らかにした.方法:対象は外転型SD 8例と健常成人10例とした.「北風と太陽」の文章音読中に3回出現し,条件が異なる(1:句読点なし,2:読点あり,3:句点あり)語頭無声子音を含むモーラ/ta/におけるVOTとその直前の音節での無音区間長を計測した.結果:読点あり,句点ありの条件下では,外転型SD例でVOTが有意に延長していた.結論:外転型SD例のなかには,句読点の有無(無音区間長の違い)によってVOTが変動する例が存在することが明らかになった.無音区間長を考慮したVOTの計測は,SDの音声症状を定量化するにあたり,有用である可能性が示唆された.
著者
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西澤 典子
北海道医療大学 心理科学部 言語聴覚療法学科
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柳田 早織
北海道医療大学心理科学部言語聴覚療法学科
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西澤 典子
北海道医療大学心理科学部言語聴覚療法学科
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目須田 康
北海道医療大学病院耳鼻咽喉科
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目須田 康
北海道医療大学個体差医療科学センター医学部門耳鼻咽喉科
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