リポ蛋白糸球体症における新たなアポE変異体
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
我々は,血漿アポEの高値および特徴的な腎組織像からリポ蛋白糸球体症と診断した4歳発症の女児例を経験した。本例は検索した範囲では世界最年少例と思われた。 本症の病因の一つとしてリポ蛋白代謝異常が示唆されているため,患児のアポEの検索を行った。表現型と遺伝子型に不一致がみられたことより,さらに検索を進めたところ,アポE遺伝子exon 4において9塩基の欠失 (480-488nt) が認められた。これによって合成される患児のアポEは,3個のアミノ酸 (Arginine,Lysine,Leucine) が欠け,296個のアミノ酸から成る変異体であると推測された。また,現在無症状である母親および弟にも同遺伝子変異が確認された。この変異はアポEにおいてレセプターとの結合領域と考えられている部分に存在しており,これによって生じる変異体はリポ蛋白代謝異常さらには本症の発症に何らかの形で関与している可能性が示唆された。
著者
-
丸山 健一
群馬県立小児医療センター
-
小林 靖子
群馬大学 小児科
-
小川 哲史
群馬大学 小児科
-
新井 英夫
群馬大学 小児科
-
渡部 登志雄
群馬大学 小児科
-
森川 昭廣
群馬大学 小児科
-
服部 浩明
BML研究開発本部
-
江頭 徹
BML研究開発本部
関連論文
- ウイルムス腫瘍発症時は腎症状なく治療終了後に末期腎不全に至ったDenys-Drash症候群の1例
- 24WS2-2 ウイルムス腫瘍発症時に尿異常なく、治療終了後に腎不全を来したDrash症候群の1例(ワークショップ2 2次がん,第22回日本小児がん学会 第48回日本小児血液学会 第4回日本小児がん看護研究会 同時期開催)
- ARC症候群の1例
- 20. 胆道閉鎖症を疑われたARC症候群の1例(第31回胆道閉鎖症研究会)
- 神経芽細胞腫を合併した腎血管性高血圧に対し経皮的バルーン血管形成術を行った1乳児例
- 腹部症状が先行した血管性紫斑病の3症例 (主題 アレルギー・膠原病)
- 食事療法の実際 (特集 ネフローゼ症候群;最新の治療とケアの実際) -- (知っておきたい知識)
- C96 先天性食道閉鎖症に合併した直腸肛門奇形症例の検討
- VATER association の耳科学的特徴と言語発達
- 海外論文紹介 : Unexpected Efficacy of Rituximab in Multirelapsing Minimal Change Nephrotic Syndrome in the Adult: First Case Report and Pathophysiological Considerations
- OK-432による硬化療法後段階的腫瘍切除を行い長期呼吸管理良好であった小児頭頸部巨大リンパ管腫の1症例
- 3歳児健診で発見された尿異常症例の臨床的検討
- 海外論文紹介 : Urine Calcium/Citrate Ratio in Children With Hypercalciuric Stones
- リポ蛋白糸球体症における新たなアポE変異体
- 21. アレルギー性紫斑病の治療中に消化管穿孔を来した2例(一般演題,第47回日本小児外科学会関東甲信越地方会)