生理的ならびに病的状態における脂肪動員機構に関する研究
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概要
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肥満症や糖尿病患者にグルコース負荷試験 (GTT) を行なうと, 健常者と異なり血中遊離脂肪酸 (FFA) が一過性に上昇することが知られている.そこで脂肪細胞からの脂肪動員機構を解明し, あわせて上記患者におけるGTTに対する血中FFAの異常反応の成因を解明するために臨床的ならびに実験的研究を行なつた.その結果, GTTでは肥満症において13例中6例, 糖尿病患者においては32例中11例に上記の傾向が認められた.ラットの単離脂肪細胞を用いた実験的研究においては, 脂肪細胞からのエネルギー (脂肪) 動員機構はlipolysisとそれによつて生じたFFAおよび遊離グリセロール (FG) の細胞外への放出という2つの過程によつて制御され, さらにFFAの細胞外への放出は再エステル化によつて調節されていると考えられた.またFFAおよびFGの細胞外への放出はenergy-dependentであり, そのエネルギーはグルコース利用によつて得られる可能性を示唆した.この事実は低炭水化物食を与えた糖尿病患者にGTTを行なうとFFAおよびFGの上昇が一層顕著になつたことからも支持されるものと思われる.
- 一般社団法人 日本内分泌学会の論文
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