X線CTによる顎顔面部の多断面再構築法に関する臨床的研究
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概要
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X線CTの多断面再構築法は直接撮影にて得られた横断像を用いて任意の新たな断面を作製する方法で, 特定の診断目的には有効な情報を提供する.本研究では骨内インプラントの術前検査における顎骨形態, 顎骨疾患における病態と周囲構造への影響, および顎関節疾患における骨構造の異常の把握を目的として, 再構築画像の最適取得条件を決め, その臨床的有用性を評価した.CT横断像の最適撮影条件を決定するために, 水中に浸した乾燥頭蓋骨を対象に, スライス厚さ/間隔を2mm/2mmないし1mm/1mm, 管電流×時間 (mAs) を180,240ないし300mAsにて撮影し, 再構築画像を各組合せでの画像データから作製し, 上記の診断目的を満たすか否かを評価した.その結果, 顎骨形態の把握には, 2mm/2mm/180mAsという最少の線量にても十分な画像が得られ, 顎関節部では1mm/1mmにて下顎頭と下顎窩を区別しえた, 次に摘出下顎骨の横断像からの再構築画像とその部の薄片の軟X線画像とを対比した結果, 細かい骨梁構造は描出しえなかったが, 骨梁の緻密さの程度を不透過度の程度として表現しえた, 臨床評価ではインプラントの術前検査を目的とした2mm/2mmでは60画像中47画像で目的を満たす画像を得たが, 一部の症例で下顎管を描出しえなかった, しかし1mm/1mmを採用した全例で下顎管を観察しえた.以上から2mm/2mmを基本とし, 下顎管部のみ1mm/1mmを採用すべきといえた.下顎骨骨髄炎, 腫瘤性病変, 悪性腫瘍による顎骨浸潤などの顎骨疾患21例では病態や病変の頭尾方向への進展を観察しえた.下顎頭骨折5例では冠状断再構築画像にて骨折線と小骨折片の転位が明確に描出され, 直接冠状断は不要であった.顎関節症19例では矢状断・冠状断再構築画像にて皮質骨の輪郭と内部構造が描出され, 骨硬化, 骨棘の形成, erosionなどの骨変化が9例で認めた.以上の結果からX線CTの再構築画像は顎顔面領域の顎骨形態と病態の把握に有用であり, しかも通常のCT撮影より少ない線量にてそれが可能であると判断された.
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