酸棗仁湯の奏効した嗜眠傾向の一症例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
酸棗仁湯が嗜眠傾向に対して有効であった1症例につき報告した。患者は52歳の主婦で体格は小さく痩せており, いつも身体が疲れていて, 夜は十分眠れるのに昼間もなお眠く感じ, ともすれば横になり眠ってしまうような嗜眠傾向の状態であった。腹力はやや軟で臍上に動悸と臍傍に圧痛点を認めた。初め, 当帰芍薬散料加附子と酸棗仁湯を交互に服用させたが, 後には, 酸棗仁湯を主として, 当帰芍薬散を兼用とした。約2ヵ月余で, 嗜眠傾向は全く改善された。すでに報告した酸棗仁湯で有効な不眠症の2症例をも考慮してみると, 酸棗仁湯は不眠にも嗜眠にも有効であることが確かめられた。また, 不眠や嗜眠に対して, 酸棗仁を妙る妙らないは必ずしも関係なく, むしろその成分が煎液によく出ることが必要なのではないかと思われる。
- 社団法人 日本東洋医学会の論文
著者
関連論文
- 地黄の研究(第4報) : 熟地黄50%エタノール抽出エキスの血行動態に及ぼす影響(その2)
- 091 釣藤散が有効であった正常圧水頭症の一例(神経・筋疾患1,一般演題,伝統医学のあるべきかたちとは-世界の潮流と日本の役割-,第59回日本東洋医学会学術総会)
- 090 漢方治療が奏効した強迫性障害の一例(精神・心身医学・全人医療3, 第58回日本東洋医学会学術総会)
- 084 紅参の唾液アミラーゼ活性に与える影響について(精神・心身医学・全人医療2, 第58回日本東洋医学会学術総会)
- 022 画像補助診断を用いた混合型認知症2症例に対する和漢治療(漢方処方・湯液2, 第58回日本東洋医学会学術総会)
- 手湿疹における腸癰湯の有効性の検討
- 224 半夏厚朴湯難治例の上部消化管内視鏡的検討(消化器・肝胆膵疾患2,一般演題,第57回日本東洋医学会学術総会)
- O-24. 難治性胃食道逆流症(GERD)に対する噴門スコアの検討(第47回日本平滑筋学会総会)
- 大建中湯が奏効した過敏性腸症候群の1例(ワークショップ4「随証治療で経験した漢方の驚くべき効果」, 第56回日本東洋医学会学術総会)
- 月経前症候群に対する加味逍遥散を中心にした漢方療法
- 192 閉塞性化膿性胆管炎の急性期治療に茵〓蒿湯エキス製剤等の併用が有用であった三症例(40 消化器(4)(胆道疾患))
- 134 手湿疹に対する腸癰湯の有効例・無効例の検討(28 皮膚科(3))
- 070 氣虚と心理状態の検討(15 精神・心理(5))
- 224 地黄含有方剤を長期連用しヘモクロマトーシスを併発したと考えられるベーチェット病の一例(51 血液)
- 071高齢者の漢方エキス製剤に対する味覚とADL等の改善関係について(17老年医学(1))
- 〓血のパラメータとしてのレムナント様リポ蛋白コレステロール (RLP-C)(02病態 (伝統医学), 第56回日本東洋医学会学術総会)
- 高齢者の性的逸脱行動に桂枝加竜骨牡蛎湯が有効であった2例
- M-098(31) 漢方治療を求める患者の心理検査による検討
- A-006(30) レムナント様リポ蛋白コレステロールと〓血病態との関連について
- 高齢者の大量発汗に黄耆末の振り出しが有効であった2例
- 053東洋医学的集約治療を実施したアトピー性皮膚炎患者の検討(13アレルギー(1))
- P-24 高齢者の漢方エキス製剤内服に関する意識調査
- P-19 問診のみによる気虚の判定について
- 大柴胡湯加減が奏効した結節性痒疹の1例
- 188 円形脱毛症が鍼灸治療と漢方薬の併用にて改善されたと考えられる一例(鍼灸5,一般演題,第57回日本東洋医学会学術総会)
- 臨床からみた漢方薬の品質 : 生薬の調剤システム
- 漢方方剤中のK, Na含量
- 高齢者の痴呆による陽性症状に抑肝散が奏効した2例
- 先天性心奇形の術後反回神経麻痺に漢方治療が奏効した1例
- 酸棗仁湯の奏効した嗜眠傾向の一症例
- 非観血的に治癒し得た霰粒腫の1症例
- 苓桂朮甘湯の奏効したアトピー性皮膚炎の1症例
- 現代の痛風 (Gout) の関節痛に用いる漢方処方と生薬の来歴
- 白虎湯の加味方が奏効したアトピ-性皮膚炎の1経験例
- 桂枝加黄耆湯が奏効した掌蹠膿疱症の1症例
- Two Cases Well Treated with "Sansonin-To"
- A Trial for the Modernization of Kampo-Medicine (9):Studies on Fundamental Patterns of the Herbal Composition of the Decoction in the "Shang Han Lun recopied in the Koji (Kan Chih) Period"