経口投与されたClostridium perfringensのモルモット腸管における消長について

概要

論文の詳細を見る
Clostridium perfringensのA型菌株をモルモットに経口投与し,腸内におけるこの菌の消長と腸内細菌との関係について検討した。栄養型菌を投与した場合,本菌は糞便中に4∼15時間にわたつて検出されたが,24時間以後は検出されなかつた。さらに,検出菌数の成績から,本菌は腸内で増殖しないと考えられ,また,75C 15分の加熱に耐える菌も存在しなかつた。芽胞を投与した場合,本菌は3時間後から4日間にわたつて検出されたが,5日目以後は検出されなくなつた。75C 15分の加熱に耐える菌数の検出総菌数に対する比率から,投与された芽胞の一部は発芽するが,増殖することなく排泄されるものと考えられた。腸内容物で作製した数種の培地にC. perfringensを培養して調べたところ,この菌の増殖抑制または死滅を早める因子として,腸内の常在菌または,ミリポアフィルター通過性でかつ高圧滅菌に耐えない物質が腸内に存在すると推定された。C. perfringensの芽胞を投与したのち,1日を経たモルモットでは,正常のものに検出されなかつたC. perfringensが腸管内各部位に検出された以外に大きな菌叢の変化はないと考えられた。