ユスリカアレルギーに関する基礎的研究 : I. 日本産ユスリカ数種の培養法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ユスリカアレルギーの正確な診断および効果的な減感作療法に必要な精製抗原を得る目的で, 都市圏内に発生する数種のユスリカの培養法を検討した。その結果, いずれの種も実験室内で累代飼育が可能であることがわかった。幼虫の飼育方法については, Glyptotendipes tokunagaiの場合, 川砂を敷き, 脱塩素水を入れた径30cmの容器に(cm)^2あたり1個体の密度で孵化直後の幼虫を接種し, 25℃でエアーレーションを施し, 個体あたり15mgのコイ用飼料を与えることにより, 高い生残率で成熟幼虫が得られることがわかった。一方, Chironomus yoshimatsuiおよびChironomus flaviplumusでは, 径15cmの容器を用い, 同様の条件下でそれぞれ(cm)^2あたり8個体の密度, 個体あたり7.5mgの投餌量および(cm)^2あたり4個体の密度, 個体あたり7.5mgの投餌量で飼育することにより, 効率良く成熟幼虫が得られた。採卵法については, G. tokunagaiでは, 性比を♀5に対し♂2以上にすることにより, 成虫密度が低い場合でも小型容器内で十分受精卵が得られ, C. yoshimatsuiでは, 夕方に相当する照明時間帯を設け, 相対湿度を80%以上に保つことにより, 成虫密度が低い場合, あるいは♂の個体密度を♀の1/4まで下げた場合でも, 比較的狭い空間(高さ30cm)で高い受精率を得ることが可能であることがわかった。一方, C. flaviplumusの場合, 夕方に相当する照明時間帯に21x程度まで段階的に減光し, 性比を♀1対♂2とすることにより, 受精率は低いが比較的狭い空間(高さ50cm)でもかなり多数の受精卵塊が得られることがわかった。
- 日本衛生動物学会の論文
- 1986-03-15
著者
-
河合 幸一郎
富山医科薬科大学細菌免疫学教室
-
河合 幸一郎
富山医薬大・細菌免疫
-
河合 幸一郎
富山医科薬科大学
-
河合 幸一郎
富山医科薬科大学医学部細菌学免疫学教室
-
小西 健一
富山医科薬科大学医学部細菌学免疫学教室
-
小西 健一
富山医科薬科大学 細菌
-
小西 健一
富山医科薬科大学細菌・免疫学教室
関連論文
- 244 ユスリカ喘息に関する研究(VI)室内及び室外空中オオユスリカ抗原量の季節的変動
- ユスリカ喘息に関する研究 第II報 : ユスリカ種別間の交叉抗原性について
- 369 ユスリカ喘息に関する研究(IV)オオユスリカの主要感作抗原分画の検討
- ユスリカ喘息に関する研究
- 85 富山平野を流れる「いたち川」に発生するユスリカ類
- 84 びわ湖に発生するユスリカ類
- 太田川(広島県)から記録された新種のユスリカ(双翅目,ユスリカ科)7種〔英文〕
- 138 ユスリカ・アレルギーに関する基礎的研究(XII) 幼虫Hbの共通抗原性について
- ユスリカ科幼虫の水質指標としての有用性について
- ユスリカ・アレルギーに関する基礎的研究III : 日本産ユスリカ数種の成虫アレルゲンの解析
- 287 ユスリカ・アレルギーに関する基礎的研究(VIII) : 成虫種間共通アレルゲンの検索
- 250 ユスリカ・アレルギーに関する基礎的研究(VI) 成虫の主要アレルゲン及び種間交差反応性の検討
- ユスリカ・アレルギーに関する基礎的研究II : 日本産ユスリカ数種の幼虫アレルゲンの解析
- 3 ユスリカ・アレルギーに関する基礎的研究 : (その 4)幼虫及び成虫アレルゲンの解析
- 370 ユスリカ・アレルギーに関する基礎的研究 (その5)幼虫及び成虫抗原の解析
- ユスリカアレルギーに関する基礎的研究 : I. 日本産ユスリカ数種の培養法
- 43 ユスリカアレルギーに関する基礎的研究 : II.アレルゲンの作製と解析.
- 3 日本産ユスリカ族 3 種の培養方法について
- 453 ユスリカHbによるIgE産生誘導機構の解析 : 1. Hb一次構造の解析
- 525 ユスリカHbによるIgE産生誘導機構の解析II. Hb遺伝子のクローニング
- 524 CAPシステムを用いたセスジュスリカ、カイコガ特異IgE抗体の測定
- 「私の40年,あれこれ」
- 臨床材料から分離された溶連菌の群,型別について
- マウス IgE 産生を誘導するユスリカ幼虫 Hb の交差反応性について
- 258 ユスリカ種間共通 Hbアレルゲンの検索
- 免疫化学的測定法を用いた空中ユスリカ抗原の定量的測定
- 139 免疫化学的測定法を用いた空中ユスリカ抗原量の定量的測定
- 土壌におけるClostridium perfringensの出現率と生残性について
- モルモット腸内容物培地におけるClostridium perfringensの発育
- 経口投与されたClostridium perfringensのモルモット腸管における消長について