Bacillus cereus T芽胞の発芽機構に対するグリシンの作用
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概要
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Bacillus cereus Tの芽胞形成において,芽胞形成培地にグリシンを高濃度に添加した場合,形成された芽胞(グリシン芽胞)は,グリシンを添加しない芽胞形成培地で形成された芽胞(正常芽胞)より低い熱抵抗性を示した。これら両芽胞は,heat activation (70C, 30分)を行つた後,発芽始動物としてL-アラニンを用いた場合の,発芽時培養温度,発芽培地の液性の影響,および,D-アラニンによる発芽阻害,また,両芽胞の発芽始動物としてのL-アミノ酸に対する要求について,検討した。その結果,発芽時培養温度,発芽培地の液性が発芽におよぼす影響は,両芽胞は,ほぼ同様の成績を示した。しかし,次の二点において両芽胞のあいだに相違が認められた。1) 正常芽胞において発芽始動活性が認められたL-アミノ酸(アラニン,システイン,メチオニン,セリン,トレオニン,バリン,イソロイシン,ロイシン,グルタミン)のうち,トレオニン,バリン,イソロイシン,ロイシンの4種は,グリシン芽胞では発芽始動活性が著しく低下していた。2) L-アラニンによる発芽のD-アラニンによる阻害が,正常芽胞よりもグリシン芽胞に強く発現した。これらの事実は,B. cereus Tにおいて,芽胞形成過程に高濃度グリシンを作用させることにより,芽胞発芽機構に本質的変化は生じないが,発芽始動物認識部位に立体構造上の変化を生じるということを示唆している。
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