エナメル質における歯質崩壊過程の連続的観察 : 乳酸・プロピオン酸・クエン酸による初期崩壊
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概要
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エナメル質崩壊過程の連続的観察実験については, 既に酢酸およびEDTAによる崩壊知見を報告した。本研究はその延長として計画されており, 乳酸・プロピオン酸・クエン酸による崩壊過程を観察することが目的である。実験方法は, 既報したsandwich methodに準じており, 約30μ厚の平行薄切々片に生ずる形態変化を, 顕微鏡下で連続的に観察記録している。作用液としての乳酸・プロピオン酸・クエン酸は, いずれもpH5.0, 0.1Nの緩衝液で, 作用後の薄切片についてmicroradiographyを撮影した。観察結果を既報した酢酸, EDTAの所見と合せ要約しておく。 (1) エナメル質表層における一部の小欠損 (減形成) , Retzius線は, 酸種にかかわりなく, 侵襲口としての役割を示す。 (2) 酢酸・乳酸・プロピオン酸に対し, クエン酸・EDTAは小柱間が比較的強く侵襲される。 (3) 崩壊の程度を強さの順に列記すると, EDTA・クエン酸・乳酸・酢酸・プロピオン酸となり, キレート作用が加味されると, エナメル質の崩壊はかなり強烈となる。
- 有限責任中間法人 日本口腔衛生学会の論文
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