青森県北津軽郡における斑状歯発生地域の飲料水中化学成分について
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概要
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小学校児童の多くに斑状歯の認められた青森県北津軽郡板柳町沿川第一小学校区および同郡鶴田町梅沢小学校区における飲料水について, フッ素をはじめとする化学成分を8ヵ月間 (昭和50年) にわたり測定し, 検討を加えた。フッ素の定量は, イオン電極法によった。<BR>当該地区の飲料水は, 昭和32〜42年にかけてボーリングされた, 深度100〜300mの水源から得られる深層地下水である。両校区あわせて, 23ヵ所の水源から859戸に給水されている。<BR>各水源の平均フッ素濃度は, 0.31〜3.18ppmの範囲である。そのうち, 水道法の基準値0.8ppm以上のフッ素を含有する飲料水が734戸 (85.4%) に給水されている。とくに, 沿川第一小学校区の190戸 (同校区の44.4%) と, 梅沢小学校区の55戸 (12.8%) には, 2.0ppmを越す飲料水が給水されている。<BR>これらの飲料水は, 全般に軟水でカルシウム (4.6〜21.0ppm) とマグネシウム濃度 (0.4〜4.4ppm) は低かった。一方, pH (7.2〜8.7), ナトリウム (41〜265ppm) および塩素濃度 (19〜460ppm) は, 比較的高い値を示した。ナトリウムと塩素濃度は, フッ素濃度に対して, それぞれ高い正の相関をもつことが認められた。<BR>これら高濃度フッ素の由来については, 鉱温泉水の混入, 海洋性因子の影響, あるいは岩石からの溶出などが推測されるが, 明らかではない。
著者
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松田 和弘
岩手医科大学教養部 化学科
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田沢 光正
岩手医科大学歯学部口腔衛生学講座
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飯島 洋一
岩手医科大学歯学部口腔衛生学講座
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高江洲 義矩
岩手医科大学歯学部口腔衛生学講座
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原田 潮
岩手医科大学歯学部
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高江洲 義矩
岩手医科大学歯学部
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田沢 光正
岩手医科大学歯学部
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飯島 洋一
岩手医科大学歯学部
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松田 和弘
岩手医科大学歯学部
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