高クエン酸食飼育時にみられる歯周組織の病変に及ぼすCoenzyme Q投与の影響

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歯周疾患のなかでも, 年齢の割には早期に高度な歯槽骨吸収と萎縮を伴なつている患者には糖代謝障害があり, しばしばクエン酸が血液に増量していることが多い。この臨床的事実に基づいてTanner (1967) は高クエン酸食飼育あるいはクエン酸ソーダ大量注射によつて, 動物体内にクエン酸を積極的に蓄積してみる方向で, クエン酸と歯周病変との関連性について追究した。その結果, 歯肉充血と歯槽骨の萎縮のほか, 骨の吸収および骨髄の線維化が強く出現することを報告した。本研究はTannerが行なつた高クエン酸食で飼育したラットに現われる歯周組織の病変を, 血液クエン酸とカルシウムレベルの変動と共に追試してみた。われわれの実験においても, 強い歯槽骨の骨多孔症と歯根膜線維の萎縮像が確認できたほか, 動物には高クエン酸血症と高カルシウム血症が観察された。このことから, クエン酸の歯周病変に果す全身的な役割の重要性が認識され, 更にクエン酸の酸化促進ならびに間葉組織系の賦活作用をもつといわれるCoenzyme Qの全身的投与によつて, これらの歯周病変の発現が予防され軽減される所見をえた。これらの事実は歯周疾患の全身的予防としてのCoenzyme Qの意義について, 一つの実験的根拠を与えるものである。
有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文

高クエン酸食飼育時にみられる歯周組織の病変に及ぼすCoenzyme Q投与の影響

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