トリオール架橋ポリウレタンの低温転移

概要

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トリオール架橋ポリウレタンの動力学的性質を110Hzで, -150°C〜75°Cの温度範囲で測定することによって, 緩和現象と構造との関係を検討した. 試料には, トリメチロールプロパン (TMP) とポリ (オキシプロピレン) トリオール (PPT, Mn=251) で架橋したポリ (オキシプロピレン) グリコール (PPG)-2,4-トルエンジイソシアナート (TDI) 系ポリウレタンを用いた. 三つの分散 (α, β, γ-分散) が観察され, α分散は, 網目鎖のミクロブラウン運動に基づく分散に帰属された. PPG-TDI-TMP系試料のβ分散では, TMP架橋密度の増加とともに tanδ ピーク温度は, -72°Cから-45°Cにシフトし, その強度は増加した. しかし, PPG-TDI-PPT系試料では, β分散はほとんど観察されず, TMP架橋点の他にアロハネート架橋点を導入してもβ分散には影響しなかった. これらの結果より, β緩和はTMP架橋点近傍の動きに基づく分散に帰属された. γ分散 (-150°C〜-100°C) は, PPGのエーテルセグメントの局所運動や側鎖メチル基の回転に関する複合分散に帰属された.
社団法人日本ゴム協会の論文