アミノ基転移反応によるグリシンの生合成について
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概要
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カイコの消化管およびブタの解臓よりalanine-glyoxylic transaminaseを分離精製し,この酵素の性質について検討した. (1) 組織のホモジェネートをエタノールークロロホルム混液で処理後,燐酸カルシウムゲル吸着を行い,約5倍の活性を持つ酵素液を得た.本酵素標品は60°, 5分で失活する.また凍結乾燥によっても活牲は失われた. (2) 至適pHは9.0附近である. (3) カイコの消化管およびブタの消化管から得た酵素のアラニンに対するミカエリス恒数はそれぞれ2.0×10-2, 1.35×10-2Mである. (4) アンモニウムイオン,硫化水素で阻害が顕著にめられ1×10-2Mで100%阻害される.アミン,アミノ化合物でも10〜30%の阻害を示す.カルボニル試薬による影響は余り顕薯ではない. (5) 透析により活性の低下した酵素活性はPALPを添加しても回復されず,またこの酵素の吸収スペクトルではPALPを補酵素とする酵素に認められる388mμにはほとんど吸収を認めず,この酵素の補酵素がPALPであるという積極的な証明は得られなかった. 本研究に当りカイコの飼育を担当された大友耕平氏,並びに多大の御援助を戴いた宮城県蚕業試験場長野口活也氏並びに職員各位に心から感謝の意を表します.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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