アミノ酸及び蛋白質の溶液論的研究 : (第5報)酸性アミノ酸にもとづく溶媒のElectrostriction
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概要
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L-アスパラギン酸, DL-グルタミン酸,L-アスパラギン及び二塩基性有機酸について各極性基にもとづくelectrostrictionを測定し次の結果を得た. 1) アスパラギン酸及びグルタミン酸のα-位カルボキシル基にもとづくelectrostrictionは一般のモノアミノ・モノカルボン酸に比して小さい.しかしアスパラギンでは同程度である. 2) アスパラギン酸のβ-カルボキシル基によるelectrostrictionは,グルタミン酸のγ-カルボキシル基に比して顕著に小さい.これは隣接するα-アミノ基及びα-カルボキシル基の影響と推定される. 3) アスパラギン酸のアミノ基によるelectrostrictionは一般のモノアミノ・モノカルボン酸のアミノ基の場合より小さい.これは2個のカルボキシル基の影響を受けるためであろう.しかしグルタミン酸のアミノ基に於てはモノアミノ・モノカルボン酸と同程度であるから,メチレン基2個の距離をへだてると極性基相互の影響は急速に減少するものと推定される.アスパラギンのアミノ基はアスパラギン酸とグルタミン酸の中間の値をとる. 4) 脂肪族二塩基酸に於て, 2個のカルボキシル基にもとづくelectrostrictionは相互の距離,すなわち分子構造と密接に関係する.相互の距離が近接するに従つて,第1カルボキシル基によるelectrostrictionが第2カルボキシル基のそれに比して小となる.しかしこの不平均はカルボキシル基の間に2個のメチレン基が存在する琥珀酸では殆んど消失する.低級二塩基酸に於るかかる現象の原因は溶液中での分子の会合によるものではないらしい 5) オキシ酸に於ては,カルボキシン基によるelectrostrictionはOH基の存在で減少する. OH基の位置とカルボキシル基によるelectrostrictionの値との間には関連性が認められる.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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