熟成食酢にOH基プロトンのNMRスペクトル
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概要
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酸度6%の市販食酢を9年間,酸度16%の高酸度食酢ホワイトビネガーを7年間貯蔵し,熟成に畔う食酢のOH基プロトンのNMRスペクトルの変化について研究を行った. (1) 貯蔵熟成した食酢試料と比較を行うため,同酸度の酢酸水溶液のOH基プロトンのシフト値と半値幅を調べた. (2) 貯蔵熟成した酸度6%の市販食酢のOH基プロトンのシフト値は,同酸度の酢酸水溶液に比べてわずかに低磁場に移行する.また,半値幅は貯蔵年数の長いものほど増加し顕著である. (3) 貯蔵熟成した高酸度ホワイトビネガーのOH基プロトンのシフト値は,同酸度の酢酸水溶液に比べて低磁場に移行しており,貯蔵年数の長いものほどシフトが大きい.また,半値幅も同様に年月の経過とともに増大する. (4) 食酢中の微量成分,エタノール,酢酸エチル,糖がOH基プロトンのNMRスペクトルに与える影響について調べたところ,含有される濃度範囲においてはほとんど無視することができる. (5) 熟成に伴う食酢OH基プロトンのNMRスペクトルの変化(低磁場へのシフト移行,半値幅の増大)は,貯蔵中の液体構造の変化によるもので,これは,プロトンの交換速度および単量体の減少を示すもので,第1報の熟成食酢の気相酢酸濃度減少の事実と良い一致を示している.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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