ビールのメチルメルカプタンおよびエチルメルカプタンの定量
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概要
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(1) Porapak Qを吸着剤として用いるコールドトラップ法により,ビールの香気成分を捕集濃縮し,濃縮物をFPD-GCにより分析してMeSH, EtSHおよびDMSなどを検出した. (2)この方法をもとにビール,麦汁中のMeSH, EtSHの定量法を検討,確立し,醸造工程における消長および壜詰後の変化を調べた.その結果以下のことが明らかとなった. 1) MeSHは麦汁中に2〜4μg/l程度存在するが,発酵の初期に急激に減少し,その後発酵の進展とともに再び0.6〜0.8μg/lまで増加し,以後貯酒工程ではほとんど変化しない. 2) EtSHは麦汁中には全く存在せず,発酵が進むとともに生成し,発酵6〜7日目で最高レベル(0.3〜0.7μg/l)になり後発酵で減少する. 3)壜詰後EtSHはかなり速やかに消失するのに対し, MeSHは15日程度の常温保存ではほとんど変化しない,また,このMeSHは高温保存条件下(45°および60°C)で著しく増大する. (3)ビール発酵中のH2S生成量とEtSH生成量には相関性があり, H2S生成量が多いほど, EtSHの生成量は多かった, EtSHは若臭の一成分としてその消失がビールの熟成に関与していると考えられた. (4)麦汁煮沸時ならびに発酵時の排気ガス中の揮発性含硫化合物を分析し,前者からはCOS, H2S, CS2, MeSH, DMSおよびDMDSを,また後者からはH2S, MeSH, EtSH, DMSおよびDMDSを検出した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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