蛋白質欠乏時の動物の体蛋白質,とくにコラーゲンと筋肉蛋白質の代謝
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概要
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成熟ラットに生存可能なかぎり無蛋白食を与え,その間の,肝臓,小腸および屠体の蛋白質量と,屠体中の筋肉蛋白質とコラーゲンの減少を経時的に追究した.また,この間の血液のA/G比と血色素,尿中ヒドロキシプロリンとNτ-メチルヒスチジンの分析も行った. (1)蛋白質欠乏の初期には,肝臓と小腸の蛋白質が急速に失われるが,欠乏が長期にわたると減少はきわめてゆるやかとなる.血液のA/G比や血色素濃度もこれに近い変化を示す.これに対し,筋肉蛋白質とコラーゲンは,実験を終了した87日まで一貫して減少を続けた.このことは,蛋白質欠乏の初期には,肝臓その他の蛋白質が,体蛋白質合成のためのアミノ酸プールの素材として使われるが,長期にわたると筋肉蛋白質やコラーゲンが主に利用されることを示すものと思われる. (2) 64日間の無蛋白食で減少した屠体蛋白質のうち, 56%は筋肉蛋白質に, 20%はコラーゲンに由来していた.それゆえ,蛋白質欠乏時には,コラーゲンもまた,蛋白質生合成のためのアミノ酸プールの主要な素材の一つとして利用されている.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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西 宏
宇都宮大学
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田中 秀幸
宇都宮大・応生化・動物
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田中 秀幸
宇都宮大 農
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田中 秀幸
宇都宮大学
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中島 正美
宇都宮大学農学部農芸化学科
-
藤田 玲子
宇都宮大学農学部農芸化学科
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西 宏
宇都宮大学農学部農芸化学科
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田中 秀幸
宇都宮大学農学部農芸化学科
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