加熱処理濃縮乳のカゼインミセルの解離に及ぼす尿素, EDTAおよびpHの影響
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概要
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前報に引き続いて,濃縮乳を高温で加熱したときに起きるカゼインミセルの変化を明らかにするために, 135〜140°Cで15秒間加熱処理した濃縮WPFMに尿素, EDTA,酸あるいはアルカリを添加して,遊離する可溶性カゼイン量およびその組成を調べた.それを未加熱試料のそれと比較し考察した. (1) 1.25Mまでの尿素添加により遊離する可溶性カゼイン量は,加熱処理濃縮WPFMの方が未加熱のものより著しく多かった.そのカゼイン組成は,加熱および未加熱試料間でほとんど差がなかった. (2) 15mMまでのEDTAの添加により遊離する可溶性カゼイン量は,加熱および未加熱試料間で差がわずかであった. (3) pHを上げたとき遊離する可溶性カゼイン量は,加熱処理濃縮WPFMの方が未加熱のものより著しく多かった. (4)これらの結果から,濃縮乳の高温加熱によってコロイド状リン酸カルシウムのカゼイン結合能が弱まるものと考えられた.
著者
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