滅菌濃縮脱脂乳の貯蔵中に起きるカゼイン複化合物の変化と,それに及ぼす貯蔵温度ならびに滅菌条件の影響
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概要
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(1) 実験室的に, 2群の滅菌濃縮脱脂乳を調製した. 1群は貯蔵温度を変えて,他の1群は滅菌のための加熱時間を変えて,貯蔵中に起きるカゼイン複化合物の変化を調べた. (2) 30°Cで貯蔵すると, 60日目に沈殿の生成とホエーの分離が認められた.これに対して50°Cで貯蔵すると, 60日目までは変化がなく, 90日目頃より粘度が著しく増大し, 150日目にはゲル化した. (3) 5°Cで貯蔵すると,可溶性カゼインは30日目まで増加し,その後変化しないのに対し, 30°Cで貯蔵した場合には, 60日目まで著しく増加し,その後も徐々に増加した. (4) 滅菌のための加熱時間の長い試料の方が,貯蔵中にカゼイン複化合物が不安定化しやすかった. (5) 貯蔵中に起きる可溶性カゼインの増加傾向は, 30日目までは加熱時間の長い試料の方が大きかったが,その後は加熱時間の短い試料の方が大きかった. (6) これらの結果から,貯蔵中の可溶性カゼインの増加とカゼイン複化合物の不安定化との間には,関連があるものと考えられた.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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