子宮肉腫症例における尿中hCGβ-core fragmentの腫瘍マーカーとしての有用性の検討
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概要
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ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は絨毛性疾患における腫瘍マーカーとして広く利用されている. hCGβ免疫活性物質のうち, 血中では検出されず尿中で検出される低分子量の物質が存在し, その分子構造から, hCG β分子の内部(core)構造としてhCG β-core fragment(以下hCG β-CFと略す)と名づけられ, 婦人科癌では卵巣癌, 子宮体癌, 子宮頸癌で, また肺癌や膀胱癌などで, その腫瘍マーカーとしての有用性が報告されている. 今回, われわれの施設で経験した3例の子宮肉腫において尿中hCG β-CFの腫瘍マーカーとしての有用性を検討したので報告する. 1997∼1999年の間に当科で術前に尿中hCG β-CFを測定した手術症例のうち, 子宮肉腫3例と子宮筋腫40例における陽性率を比較した結果(血清クレアチニン値で換算したカットオフ値は50pg/mg·Cr), 子宮肉腫では3例中3例(100%), 子宮筋腫では40例中6例(15%)が, 陽性となった. 3例の子宮肉腫症例について経過を追ったところ, 症例1では, 術前尿中hCG β-CF値は326. 5pg/mg·Crと高く, 術後は感度以下になったが, 術後3ヵ月目に再発が判明し, その値も112. 1pg/mg·Crと再上昇した. 症例2では, 術前尿中hCG β-CF値は64. 2pg/mg·Cr, 術後残存腫瘍を認め, 術後10日目には急速に増大し, 術後2ヵ月で死亡した. 症例3では, 術前尿中hCG β-CF値は168. 7pg/mg·Cr, 腟壁に一部残存腫瘍を認め, 術後約3ヵ月半で死亡した. 尿中hCG β-CF値も低下することはなかった. 子宮肉腫症例での臨床経過と尿中hCG β-CFの推移が一致し, 子宮肉腫における腫瘍マーカーとしての有用性が示唆された.
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