清酒酒母の窒素成分の生因(第4報) : 米蛋白質と米澱粉の相互作用について (1)
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概要
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化学的結合の可能性が少ない米蛋白質と米澱粉の間に,醪中で静電気的な結合が起こり得るという仮説を証拠づける手段として,均一な溶液を用いて粘度法による相互作用の検討を行ない,次の結果を得た. (1)米蛋白質と米澱粉について,粘度に関する加成性が成立する濃度範囲で検討した結果,両者間には高いpHで相互作用が認められず,低いpHで分子が長くなるような相互作用が存在した.この性質はα-カゼインについても認められたので,蛋白質の等電点を中心とした上下域における蛋白質と澱粉間の一般的な性質ではないかと考えられた. (2)蛋白質,澱粉はともに高分子電解質の挙動を示した.高分子電解質が有する性質から推して,相互作用とは解離基の解離に基づくものと推定され,前に提出した仮説と矛盾しなかった. (3)粘度に関する加成性が成立しない稀薄な範囲で,米澱粉は塩酸系溶媒中で異常な挙動を示したが,これは米アミロペクチンに起因することがわかった.同様の異常はトウモロコシアミロペクチンには認められたが,バレイショアミロペクチン,および米,トウモロコシ,バレイショのアミロースには認められなかった.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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